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『牽引療法』




 カチカチと音が鳴って首が吊られていく。椅子から尻が浮き上がりそうなほど持ち上がると、それだけで痛みや痺れが楽になってくる。
「気持ちが悪いとか、頭がぼうっとするとか、ありませんか?」
 その理学療法士はまだ二十代の若い男だった。首を吊る牽引器具の調整を終えると目の前にしゃがみこみ、私の膝に手をおいて様子を見る。私は首を吊られているのだから、目だけ動かして彼を見下ろした。
「いや、大丈夫。気持ちがいいよ」
「後からくる場合もありますから、なにかあればすぐに言ってくださいね」
 そこは総合病院のリハビリ室だった。広々とした空間に見慣れない運動器具やマッサージを受けるための台が設置され、そのあちこちで理学療法士や作業療法士の指導を受けて患者たちがリハビリに励んでいる。ほとんどはこの病院に入院中の老人たちだが、なかには私のように通いできているサラリーマンや怪我をした運動選手らしき若者も混じっていた。
 若い理学療法士の手が私の膝をさすっていた。親しげな仕草なのか、マッサージの意味もあるのかもしれない。牽引は一度に十五分から三十分という説明を受けていた。その間、ずっとこうしているつもりなんだろうか? おそらく初めてだから様子を見ているんだろうが、はやいところどこかへ行ってくれないかと私は考えていた。気まずいし、不快だった。
 五島という名のその理学療法士には独特の体臭があった。
 かすかにだが、ワキガのような匂いを全身にまとっていた。
 男の汗臭いような匂いを嗅がされるのも嫌だったし、太ももに触れている手の熱も生々しくて気持ちが悪かった。五島の手はぴったりと私の太ももにはりついていた。スラックスごしに足の筋肉をつかむようにして、ゆっくりとさすりあげていた。やはり一種のマッサージなのかもしれない。五島の手はひどく熱かった。
「う」
 五島の手が太ももの付け根まで這い上がってきた。マッサージとわかっていても、きわどいところを触られてぎょっとした。私は体をかたくした。
 あ、まずい……。
 ここ最近、妻との夫婦生活がずっとご無沙汰になっていた。首や腕や肩のしびれがひどくてそれどころじゃなかったのだ。私はなんとか平静を装おうとまっすぐ前を向いた。首の牽引器具は壁沿いに設置されていて、足下まであるガラスの壁に面している。まだ昼で明るいが、四階から見渡せる景色の中に、うっすらと自分の姿が鏡のように映り込んでいた。もちろん、多少盛り上がったところでガラスの反射に映るはずもないが、すぐ目の前の五島にはバレてしまうかもしれない。
「大丈夫そうですね、時間になったらまた来ますので」
 五島が不意に立ち上がった。私はホッとした。ガラスの反射ごしに五島が離れていくのを確かめてから、詰めていた息を吐き出した。
 とたんに、半勃ちでなんとかとどめていたそれがスラックスの下で完全にいきり勃った。
 溜めすぎたってことか。私は苦笑して体をゆらした。するとギクリと痛みが走る。私は深呼吸してそれをやり過ごした。まだ周囲に五島の匂いが残っていて、汗臭いような空気を吸い込むことになった。






忘れてました。すいません!

ゲイ雑誌『ジーメン』十月号に僕の小説がのっています。

タイトルは『牽引療法』。

妻帯者のノンケ男が首や手に痺れを感じて
整形外科のリハビリに通ったらなんとそこで……。


父が入院している病院にも立派なリハビリ室があって、
そこでリハビリを見学している時に思いつきました。

ちょうどいたんですよ、首を吊られて牽引療法を受けている
おいしそうなサラリーマンのおじさんが。

あんな風に首を吊られているおじさんが
実はいたずらされていたら素敵だな……。

そう考えて書いた小説となります。
隠微な話。


ジーメンを買って読んでいただけたら最高です。



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小玉オサム

Author:小玉オサム
ゲイ雑誌各誌に小説を送りつけ続けて、22年。
白髪の目立つ43歳。鼻毛にも白いものを発見! 鼻くその話じゃないよ。

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